バンコクのシンボルともいえる国鉄フアランポーン駅。
国鉄に乗らない人は、意外にも駅舎に入ったことがないという方も多いのではないでしょうか。
そんなフアランポーン駅ですが、建物の構造も美しく、年季のある列車が行き交うさまは、とても旅情にあふれています。
列車に乗らなくても、中を歩いて回るだけでも楽しめますので、バンコクの観光スポットに行くつもりで訪れてみるのもおススメです。
この記事では、ファランポーン駅の魅力について紹介しますね。
2024年現在はまだ駅としての機能があるので誰でも入れるけど、今後閉鎖となると今の姿ではなくなるかもしれないので、行けるうちに行っておこう!
ちなみに、フアランポーン駅からは年に6回、蒸気機関車に乗れる機会もあります。詳しくはこちらの記事から!
アユタヤまでの鉄道旅の様子もご覧いただけます。
フアランポーン駅の歴史と今
フアランポーン駅は、1916年に竣工したバンコクで最も古いターミナル駅。
100年以上にわたり、タイ全土から集まる国鉄の線路を一堂に集め、バンコクの玄関口としてタイの人々や旅行者に親しまれてきました。
市民の間では「ファランポーン駅」という愛称で親しまれていますが、国鉄駅としての正式名称は「バンコク(クルンテープ)駅」。
ファランポーン駅の特徴は、ガラスがふんだんに使われた、大きなアーチ型の建物。
当時の設計士がドイツのフランクフルト駅にインスピレーションを受け、デザインをしたと言われています。
もともとファランポーン駅は、北はチェンマイから、南はマレーシアへの国境へと繋がるナラティワートまで、タイ全土の国鉄道の路線がここを起点に集まっていました。
一日になんと約200本の列車が、24時間休みなく発着をしていたのだそう。
その後、2021年末にチェンマイなどの遠方へ行く長距離路線は、全てバンスーにあるクルンテープ・アピワット中央駅(バンスー中央駅)に移転しました。
ファランポーン駅はそのタイミングで完全に閉鎖される予定でしたが、2024年現在、バンコク近郊線のみが運行を続けています。
1日20本程度が運行されているということなので、かつての規模の10分の1になったというイメージですね。
いずれは全ての路線が運行を終了し、その後は博物館の様な形になるという情報がありますが、まだ今後の具体的なスケジュールは明らかになっていません。
ファランポーン駅の中の様子
ファランポーン駅は、円柱に支えられた1階部分が特徴的で、一見どこからでも入れそうに見えるのですが、実は正面の入り口部分は締め切られています。
駅舎に入るには、建物の側面に回って、「Entry」と書かれた入り口部分を通っていきます。
特に改札口などはなく、入場料は無料です。
駅舎の中は、アーチ型の建物の中がそのまま広場になっており、すごく開放感があります。
かつてはこの待合室の座席に、タイ全土へと旅をするたくさんの人たちが座っていましたが、バンスー中央駅への移転に伴ってその姿もなくなり、閑散とした感じを受けます。
たくさん設けられていた有人の切符売り場の多くは閉鎖され、今ではパネルなどが展示されています。
駅舎の左右は2階構造になっていて、2階部分にはカフェなどがあります。
フアランポーン駅周辺は意外にカフェも少ないので、街歩きをした後でここで休憩するのもオススメ
建物内は特に改装などは行われていないのか、古いというか、もはや歴史的建築物ともいえる雰囲気があります。
トイレなんかは、どこにあるのかかなりわかりづらく、探す楽しみさえあります。
列車の発着場のエリアに入るには、歴代の国王の肖像画か飾られたゲートを通る必要があります。
ここも切符などは必要なく、無料で誰でも中に入ることができます。
列車が発着するホームもまた大空間。このような発着場は日本にはないので、迫力がありますよね。
ホームのオレンジ色のステンドグラスは、左右対称さが美しい撮影スポットとしても人気です。
夕方の時間帯がなんとも旅情を感じるのでオススメです。
日本だと線路とホームは高低差があるので、線路の砂利や車止めがすぐ目の前にあるホームは、なんともいえないワクワク感があります。
ホームがとても長く、天井の構造物がスタジアムの骨組みみたいでカッコイイ!
長いホームを端っこまで歩くと、ホームの天井部分がなくなって、一転明るい空の下の列車も撮影出来たり。
ここまで来ることもなかなかないと思いますが、この歴史ある駅舎の後ろにそびえる近代ビルとの対比も、フアランポーン駅の魅力的な景色の一つです。
ちなみに、タイ国鉄は未だに行き先標示板を手で交換しています。
私は長距離線がバンスー中央駅に移転した直後に訪れたのですが、もう使用することのなくなった行き先標示板がたくさん置かれていて、時代の流れを感じました。
駅員室では、行き先標示板を丁寧に清掃する駅員さんの姿がありました。
イサーンのウボンラーチャタニーや南のハートヤイまで、本当にたくさんの列車がこの駅から旅立って行ってたのだなあ
記念に1枚くらい持って帰りたかった。
駅舎の普段は入れない部分をちょっと紹介
2022年年初に、ファランポーン駅の長距離線がバンスー中央駅に移転するのを記念して、ファランポーン駅構内でイベントが開催されました。
その際一般公開していないエリアも一部入ることができたので、その時の様子も紹介しますね。
ひとつめは駅のホームの2階部分。階段も歴史があってかっこいい。
ここは普段も特に立ち入り制限していないのかもしれませんが、なかなか積極的に入ろうとはしないエリアかなと思います。
列車のホームがあるエリアの奥側は、このような業務用の建物になっています。
昔の宿舎の廊下の様な雰囲気ですね。一部の部屋は今でも駅員などが使用しています。
廊下の左手の窓からは、ホームを見ることができます。
2階部分からこのエリアを見通せるのはいいですよね。
2か所目は、正面のステンドグラスがある辺りの2階部分。
中には、現在では使用されなくなった当時の機器や記念アイテムなどが飾られていました。
将来駅舎が博物館になったときには、当時の姿が見られるこういう場所も公開されるようになるといいですよね。
駅員室から上にあがると、私たちが普段町中から目にする正面のバルコニーに上がることができました。
まとめ
以上、バンコクで最も古いターミナル駅・フアランポーン駅について紹介しました。
閉鎖されるかもしれない、と以前から噂のあるフアランポーン駅ですが、その旅情あふれる建物には思い入れのある方が多いのではないでしょうか。
ぜひ現存のまま、長く残ってほしいものです。
※2022年9月現在:1バーツ=約3.9円
※当サイトでは一部記事内に広告を掲載しています。